少し用事があって仙台に一泊することになった。仙台は非常に大きな街だ。なにせ駅前から商店街を歩いて歩いて歩いても途切れることがない。人も多く、印象としては池袋と新宿と丸の内と品川を一部ずつ切り取って貼り付けたような感じだ。ポケモンショップ、アニメイト、アンパンマンミュージアムと揃っている。
しかし内向型の私としてはかなり疲れてしまった。元々騒がしいところは得意でない上に、途切れることのない店や人の連鎖にクラクラした。途中で昼食を挟んで勾当台公園付近までぐるっと歩いて地下鉄に乗って仙台駅に戻った。
結局丸善で本を買って駅ビルの喫茶店に逃げ込んだ。元々どこにいようが本屋とコーヒーに関しては鼻がきく。大体どの辺にありそうか、喫茶店にはいるならどこが良さそうか、ということに関してだけは勘が働くのである。
美味しいドリップコーヒーを飲みながらページをめくる。至福の時間を過ごして店を出ればそろそろ早めの夕飯を食べても良さそうな時間だ。駅ビルの店をみながら一人で入っても落ち着いて食べられそうな店を探す。しかしあいにく世はクリスマス。大都会仙台駅には人がごった返し、空いているのは飲み屋ばかり。流石に歩き疲れて結局夜はホテルでカップ麺を食べた。我ながら街で遊ぶのが下手すぎる。
でもこれだけ充実していれば東京に出る必要もないなと思う。JR、地下鉄、バスと充実しているし、仙台空港はそれなりに便利な空港である。山も海もあるし、魚が好きならスーパー価格は安い。大学があるおかげで本屋も古本屋もそれなりの数がある。電車か車ですぐの大きなイオンもある。
充実している中で、あえていつものスタイルを崩さない(崩せない)私としては、ははあ、この街は一月か二月にいっぺんくらいショッピングや気晴らしにくるところだなといったところなのだが、大都市が好きな人にはいいだろうなと思った。
見知らぬ土地でもよく歩いて、その辺のスーパーに入ったりする方ではあるが、やはり私には本屋と美味しいコーヒーが飲める喫茶店と便利に中心までいける電車があれば良さそうな気がする。今暮らしている町には一軒しか本屋がない上に車がないと不便なので学問にアクセスしにくいのが難点である。当然近辺に一人でコーヒーだけを飲むような店はない。そう考えるとそこそこ便利な町の方が私には向いているのだろう。煮詰まった時にふらっと遠出が出来ることも含めて。東京に一人暮らししたら？と言われたことがあるが、吸う空気がないことを除けばコスパはいいかもしれない。
でもきっとこれからもなんだかんだでそこそこの田舎に暮らす気がする。情報量が多いとずっと頭が動いてひどく疲れてしまう。仙台のような大きな街はそれこそ私にとっては行くだけで旅なのだ。知らぬ土地の電車に乗るだけで何だかんだで楽しい。そして目的は多分本とコーヒーな気がする。
せっかくきたのに歩き回って、どこも観光もしていないし博物館も休みだった。
次回来る機会があれば地底の森ミュージアムに行ってみたいと思う。
