人の声、喋り方が個性を引き立てる #声の魅力

今はそうでもないけれど、ほんの10年前まで「声が大きい!」とよく指摘されていた。そういう家庭環境・職場環境にいたことが原因だったのだが、あるとき「その喋り方聞き手にとってはきついから最後に"ん"をつけて(実際には発音しないで)話してみな〜」と具体的なアドバイスをもらって実行してみたら、驚くほど「声が大きい」と言われなくなった

 

とはいえ、いいことばかりでもなく、そういう話し方をしていると大人しい人だと思われてぐいぐいこられることも多い。「外用の面と笑顔は完全に別人」とパートナーに皮肉を言われるくらいには家の中での話し方はどちらかといえば粗雑(そっけない)である。

 

そもそも私の地声は声変わりして以降低めだし、普通に話すと「何言ったの?聞こえない」と言われてきた。それ故に自然と声のキーを+2くらいあげて話す癖がある。でかいといわれたり聞こえないといわれたり、今思えば相手に聞く気はあったんかい!とツッコミどころ満載である。

 

同じ人からのアドバイスで「声が小さいと言われる人は抑揚をつけて話すことを意識する」「声の通し方は三種類。①相手の体をぬけて背景まで突き抜けるように話す、②真正面で「ラ」の音で話す、③床(地面)に声をおとしてから跳ね返りで響かせるように話す。」という方法を教わった。ご存知の方もいるかと思うが、これは演劇における話し方だったりする。ちなみに③は叱る時に有用だそう。きついことを真正面から話すとダメージが大きいのであえて一度落とすのだそうだ。実際その人は若い時に演技を習っていたらしい。よほど私の喋り方がそっけないと思われたのかその人から随分演じる方法を教えてもらった。

 

でもまあ、結局のところ直さなくてもいいなと思うのである。私はアナウンサーや声優でもないし、舞台の役者になりたいわけでもない。演じる方法は人と接する時に若干役には立つが、どっと疲れる。それにこの低い声が私は私なりに好きなのである。普段外で周りの会話に耳を立てているとあまりに地声からかけ離れた話し方をする人のいかに多いかに驚かされる。それだけ皆演じているのだろう。

 

私は声が大きい・小さい、そっけない・よく喋る関係なく「その人の声、喋り方」で話を聞きたい。それがその人らしさなのであり、一番安心できるからだ。

もちろん人によっては怒っているのかと思うほど声が大きく、ストレートな物言いをするところもあるがそれもまたそれで「そういう話し方なんだ。怒ってるわけじゃないんだな。」とわかると面白い。

 

不機嫌そうに聞こえる話し方をする人も、実は結構リラックスしているのかもしれない。「怒ってる」「怖い人だ」なんてのは意外と聞き手による勘違いによるものなのかもしれない。そう考えると皆小さな勘違いの中で暮らしていてちょっとだけ愛おしい。

 

Photo by すしぱく

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