Ed Sheeranの強烈なPV

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名作、と言われてぱっと浮かぶのは名文学であったり、尊敬する研究者の本であったり、はては推しのナタリー・シュトゥッツマンとorfeo55のアルバムであったりするだけど、誰かに紹介するにはどれも少し違う気がする。

 

文章にして残す、誰かに紹介するもので考えてみたときに浮かんだのはEd Sheeranの2step (feat. Lil Baby)のPVである。このPVはちょうどロシアウクライナ間の戦争が始まったころだったと記憶している。プロモーションビデオとしてかっこいいなと思うのと同時に夜の街ですれ違う人が消えて行ったり、戦闘機っぽいのが映っていたり、反転したりとえも言えぬ怖さ、みたいなものがあり、そこにEd Sheeranが無表情にさらりと歌うものだから一瞬ではまってしまい、このPVは何度も繰り返し見てしまった。実際このPVは戦争前のキーウで撮影されたものであるようだ。

 

時間がたつと震災も戦争も忘れてしまうものだけど、当事者にとっては終わっていないものだったりする。宮城に行ったときに「街は綺麗になってこうしてありがたいことに仕事もしているけれど、震災は自分の中ではまだ終わっていない。ずっと引きずっている。」と仲良くなった美容師さんが話してくれたけれど、戦争も同じなのだと思う。

皆それぞれに家族がいて、友人がいて、仕事や学校があって、生活している。

そういうものがある日突然なくなってしまう、というのはとてもいたたまれないし、全てを元通りにするのは途方もない長時間を必要とする。

 

We forget that we're here right now

私たちは今ここにいることを忘れてしまう

'Cause we're livin' life at a different pace, stuck in a constant race

だって私たちはいつもとは違うペースで人生を生きていて、絶え間ない競争に巻き込まれているから

Keep the pressure on, you're bound to break, something's got to change

プレッシャーをかけ続ける、必ず壊れる、何かを変えなければならない

(引用:Ed Sheeran 2step)

 

 

私は過去より未来を重視するタイプではあるけれど、そういう”痛み”や”恐怖”みたいなものは忘れないほうがいいと思っていて、それはヒトはすぐに慣れる生き物であり、忘れやすいという性質をもっているからだ。そしてヒト単体の防御力はおそろしく低い。そしてどういうわけか人はおろかにも戦争やあってはならない失敗を繰り返す。失っていい命はないはずなのに。

 

「2step」のPVをみて聴いているとみんなそれぞれの正義で生きている、それこそが今の問題なんだ、今すぐ変えなきゃね的な強いメッセージを私は感じてしまう。実際そんな歌詞ではないにも関わらず。なんだろう、初めてPVを見た時のインパクトが強すぎて衝撃を受けてしまった。多分忘れることができない。

 

だから私は印象として記憶に残るEd Sheeranの「2step」のPVを名作として推したいと思う。

 

今週のお題「名作」