インコと暮らすということ

f:id:bluesilence:20240826221519j:image

今思い返すとペットを特別飼いたいという願望はなかったように思う。にもかかわらず、昨年亡くなったインコを含めて計3羽の鳥を飼っているのだから不思議なものである。

 

最初のきっかけはささいなことだった。人間関係に疲れて性格がきつくなっていた私に、パートナーが「ペットでも飼いなよ。鳥ならここでも大丈夫だよ。」と言ったのである。私は何かの世話をするのが嫌いな方だった。いつもなにかしらだれかしらを世話してきたせいでもある。故に最初は「嫌だよ、命に責任とれない」と断ったのだが、「鳥は可愛いよ〜。なつくししゃべるよ〜」というパートナーの言葉に負けて一人ペットショップに向かった。ペットショップにはちょうど雛がプラスチックのゲージの中にたくさんいて、わちゃわちゃしていた。しばらく眺めていたら一羽だけ綺麗な青色のインコがいて、群れから離れてえさを食べまくっていた。もちろんすぐに買う気はなく、その日は帰った。翌日も行ってみたらもう雛のゲージはなかった。残念、とあきらめかけたら店員さんが「見て行かれますか?」と声をかけてくれた。「前日までいたのはこの子たちですね。他は売れてしまいました。」一羽ずつ入れられたゲージを見る。先日みた青いインコがいて、やっぱり餌をがつがつ食べていた。「出してみますか?といってもこの子人見知りなんですけど…」店員さんが青いインコを出す。店員さんの腕をつたって私を少しみた後、インコは私の肩に止まった。「あらあら、珍しい。」店員さんが言う。普段はだしても肩に乗るどころか手にも乗るのを嫌がり噛み付くらしい。「お前さんうちに来るかい?特別なことは何もしてあげられないけど…」インコに話しかけたら元気よく「ピヨ!」と一言鳴いた。そうして私はそのインコを買って帰った。

 

ところがである。買った翌朝インコは急変した。ごはんも食べない、鳴かないので病院に駆け込んだら瀕死であると言われた。どうやら病気持ちだったらしい。注射を二本も打って「これでだめなら諦めてください」と言われた。あんなに餌を食べる子が死ぬわけないと私は思った。翌朝ゲージをのぞいたらガツガツ餌を食べていた。そして空っぽの餌箱をつついてもっとよこせと催促していた。それが最初のインコとの初めてエピソードである。なんだかんだで12年も共に暮らした。一緒に暮らしたからと言って特別なことはなにもないが、同じ空間にインコはいた。私が帰宅すると鳴いてお出迎えし、私が泣いているとそばで寄り添ってくれた。

死んだ日の前日、夢の中で家族全員にお別れをして旅立っていった。マイペースで食いしんぼうなくせに妙に大人びたインコだった。

 

現在二羽飼っているが、どういうわけか二羽とも訳ありである。白いインコは噛みつき癖がひどく、黄色いインコは人の手を怖がる。まあ手乗りにならなくてもいいや、と気長に共に暮らしていたら相変わらず噛むし手を怖がるが、少しずつマイルドになっていっている。インコにはインコのペースがあるのだ。

 

今でもペットを飼っているつもりはない。種族が違うし、理解しているつもりでも解釈違いかもしれないと思っている。ただ共に暮らしている。多分私は今の二羽が死んだら次は飼わない。私自身の体調があまり芳しくないし、鳥の世話をするのはなかなか大変なのである。羽は毎日散らかるし、騒がしい。白いインコは毎日姫扱いして可愛いと言わないとすねるし、黄色いインコもゲージに張り付いてかまってもらいたがるし、1日留守にすると本当に「ふんっ」ていってしばらく口も聞いてくれない。永遠の二歳児と暮らしている感じに近い日々である。

 

でもきっといなくなったら寂しいだろうなと思う。自宅を離れている時「あの子達食べてるかなー」と考えてしまったりして、それがペットと暮らすということかもしれない。私には鳥語はわからないが、二羽も長生きしてほしいと思う。

 

⇑ この上に「ペットとのエピソード」を書こう

▶ Rakuten 動物保護団体支援プログラム×はてなブログ #ペットを飼うこと 特別お題キャンペーン
楽天市場 動物保護団体 支援プログラム
by 楽天グループ株式会社