一週間のうち最低二回は外に出て日の光にあたることにしている。在宅で仕事をしているとどうしても家に篭りがちでもあるし、ジムにいくのは夜なので気をつけなければ週末の買い出しの日にしか日中外に出なかった、なんてこともあるからだ。
植物や動物ではないけれど、日の光にあたると少しだけ体調が良くなる感じがする。最近の夏は文字通り酷暑だから日焼け止めと帽子は必須だが、あついあついいいながら外を歩くのは砂漠のなかをあるいている気がして少し楽しい。
自分が幼少期の頃は今より暑くはなかったものの、8月なんかはやっぱり暑くて近くの市営プールにいって足を浸したりお小遣いを握り締めてアイスを買ったりしながら、日陰を探しつつ遊んでいたから今とさほど変わらないかもしれない。家の中で雑誌の付録を組み立てたり本を読んだりが好きだったが、今ほど大人たちは優しくはなかったのだ。「外で遊んできなさい!」と言われて仕方なく自転車を飛ばして図書館に行った日は呆れられてついには好きでもない水泳教室に通わされた。
子供のころからぼんやり思っていたことがある。太陽も月も世界のどこにでもある、ということだ。どこに行っても日が昇って夜が訪れる。私が空を見上げるとき、世界の誰かも同じように空を見上げているのだと思うとちょっとだけ幸せな気持ちになる。
そんなことを考えながら、喫茶店でアイスコーヒーをのむ私の隣で老夫婦が「暑いよ、まだ歩くのにどうするの」なんてたわいもない話をしている。暑いですね、そうですね、と心の中で相槌を打つ。それでも店を出たら私は再び日の光にあたりにいく。
熱中症も怖いけど、家の中でじっとしていても多分何も発見できない。発見できるのはゴミか埃かインコの羽くらいなもの。子供のように冒険心を忘れないでいたい。