風邪っぴきののどかな一日

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重だるい体を起こして喉の痛みを感じる。

いかん、風邪を引いた。

昨日はスマホの名義変更のために久々に息子と出かけた。

もう大学生にもなると、向こうから「一緒に出かけよーや」ということもあまりなければこちらから「あなた暇ならどこか一緒に出かける?」と誘うこともない。

最近の週末はパートナーと二人で過ごす時間が増えたし、割と互いにフリーである。

 

面倒くさがり屋のわたしに代わって息子は店員に名義変更の旨を伝え、必要な手続きを聞く。

黙って聞いていたら「なんでやねん」と突っ込まずにはいられない噛み合わない会話をしていて、途中から私が代わった。必要な手続きとかそういうのは経験値的に私の方が上である。

どうやら長いこと変更してなかったせいで郵送での手続きになるらしい。

さっさと今日中にやってしまおうぜ、と私は言った。

「ああああ、めんどくせぇぇぇ」とサンマルクカフェでカフェラテを飲みながら渡された紙を読む。げげっ、確認事項まだあったよ・・。店員もわかっていない風で電話して確認していたし、もう一度店にいかねばならない。それに封筒も必要である。

「あなたはショップ行って確認してきて。私はダイソーに行ってくる。」

息子にそう伝え、私はショッピングモールの一番端にあるダイソーに向かった。

封筒を買って待ち合わせ場所に向かおうと下りエスカレーターに乗ったら、上りエスカレーターに乗っている息子が。なんでやねん。

待ち合わせ場所ダイソー前じゃないんだけどなあ。

昔からボケボケのところはあったが、今も油断するとこれである。

 

「コメを食わないと気が狂いそう」と息子が言うので、近くのファミレスに行った。

あんまり安くはないから滅多にいかないがたまにはいいだろうと奢ることにした。

伝票を見て少し驚く。相変わらず奢りだと容赦無く食べる息子である。

「最近はどうよ」

「んー、バイト店長が代わって色々めんどくさい。あと明日は大学一日行かなきゃいけないんだよね。」

「そっか、夕飯いるの?久々だから友達と会うんじゃない?」

「会うけど夕飯は家で食べたいかなあ。」

「わかった」

そんな会話をしてゆっくりして店を出る。

もう少し身長が伸びるかと思ったのに、息子はあまり身長が高くないことに気づいた。

「俺さー、やりたいこととかコンプレックスとかないんだよねー。欲があるってのがよくわからん。」

それはそれはある意味幸せにここまで生きてきたんだなと思う。

確かに成績でつまづいたこともなく、友人は比較的多い方だし、学校の先生の評価もいい方である。優等生ではないが要領の良いタイプである。

「いいなー、やりたいことがたくさんあるってのは」

私をチラと見ながらいう。またかよ。

最近何かとこのセリフが多い。

「そりゃまだあなたが出会ってないだけだし、まだ若いし、死を意識していないから。」

そう返すと「そうかもしれないけどさー」と息子はいう。

ううむ、若い。若いぞ息子よ。

同じ歳の頃だった私も同様の悩みを抱え悶々としたものだ。

私はどちらかといえばやりたいことはあったが自分にできるわけがないと悩んでいたのだが、悶々としているのは同じである。

「まあ今を楽しめ」

そう返して帰路についた。

 

ずっとだるさはあったのだが、帰宅したらどっと疲れが出た。

少し寝る、と自室に入れば夕方「夕飯俺が作るよ」と息子は言った。

「じゃあ頼むわ。ナポリタン」

「LINEでレシピ送って」

「あいよ」

息子に任せて横になっていたら、「あーーーーーー!めんどくせぇぇぇ」と私そっくりの口調で作業する息子の声が聞こえてきた。なんだかおかしくてふっと笑ってしまった。

出来上がったナポリタンは可もなく不可もない味だったが、少し嬉しかった。

いつの間にか成長しているものである。

似ていないようで似ているところもあるものである。

皿を片付けるのを手伝って、「ごちそうさま」と息子の顔を見たら子供の頃の笑顔にそっくりな顔で息子はにっ、と笑った。

 

Photo by モロ

丘の上のモコモコ羊のフリー素材 https://www.pakutaso.com/20160511131post-7803.html